113A57

24歳の男性。血尿を主訴に来院した。これまで尿の異常を指摘されたことはなかった。4日前に咽頭痛と38℃の発熱があり、昨日から血尿が出現したため受診した。体温37.8℃、脈拍72/分、整。血圧120/78mmHg。口蓋扁桃の腫大を認める。顔面および下肢に浮腫を認めない。皮疹は認めない。尿所見:蛋白3+、潜血3+、沈渣は赤血球100以上/HPF。随時尿の尿蛋白/クレアチニン比2.0g/gクレアチニン(基準0.15未満)。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン3.8g/dL、IgG 1,400mg/dL(基準960~1,960)、IgA 450mg/dL(基準110~420)、IgM 100mg/dL(基準65~350)、CK 50U/L(基準30~140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。免疫血清学所見:抗核抗体陰性、CH50 30mg/dL(基準 30~40)、C3 88mg/dL(基準52~112)、C4 20mg/dL(基準16~51)、ASO 200単位(基準250以下)、MPO-ANCA陰性、PR3-ANCA陰性。

最も考えられるのはどれか。

IgA腎症
膜性腎症
ANCA関連腎炎
微小変化型ネフローゼ症候群
溶連菌感染後急性糸球体腎炎

解答: a

113A57の解説

若年男性の血尿。「4日前に咽頭痛と38℃の発熱があり、昨日から血尿が出現した」というエピソードからは溶連菌感染後の急性糸球体腎炎〈PSAGN〉を思い浮かべるが、教科書的には「2週前の感染」であり、今回の「4日前」が気になるところだ。現時点で口蓋扁桃の腫大を認めており、感染消退後の腎炎ではなく、感染真っ只中にみられる腎炎を考慮したい(See 105A46)。IgAが上昇していることと合わせ、IgA腎症が考えやすい。
a 正しい。上記の通り。
b・d ネフローゼ症候群(血尿に乏しく蛋白尿メイン)を呈する。
c MPO-ANCA陰性、PR3-ANCA陰性とあり、否定的。
e 補体低下やASO高値がみられておらず、aと天秤にかけるに正答とはならない(むろん完全に否定できるものではなく、確定診断には生検が必要となる)。

正答率:83%

テーマ:IgA腎症の診断

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