113A55

29歳の女性。発熱と左上肢の倦怠感とを主訴に来院した。2週間前から37℃台の発熱が続いていた。市販の感冒薬を内服していたが、改善しなかった。7日前から左上肢の倦怠感を自覚するようになった。3日前から発熱が38℃台となったため受診した。体温38.1℃。脈拍88/分、整。血圧:右上肢92/46mmHg、左上肢64/34mmHg。呼吸数16/分。左頸部に血管雑音を聴取する。橈骨動脈の触知に左右差があり、左が減弱している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。皮疹を認めない。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球403万、Hb 10.0g/dL、Ht 30%、白血球10,900(桿状核好中球28%、分葉核好中球47%、好酸球1%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球16%)、血小板46万。血液生化学所見:尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL。免疫血清学所見:CRP 11mg/dL、抗核抗体陰性、リウマトイド因子〈RF〉陰性。胸部造影CTの水平断像(A)及び冠状断像(B)を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

Behçet病
悪性関節リウマチ
結節性多発動脈炎
顕微鏡的多発血管炎
高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉

解答: e

113A55の解説

若年女性の発熱と左上肢の倦怠感。市販の感冒薬が無効、とのことで普通の感染症ではないようだ。血圧が右上肢92/46mmHg、左上肢64/34mmHgと左右差あり。橈骨動脈の拍動も左が減弱しているという。若年〜中年女性でみられる全身の炎症と血圧の左右差ときたら高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉を想起したい。画像ではA, Bともに左鎖骨下動脈の狭小化を指摘可能。
a 4徴である口腔内アフタ、結節性紅斑、ブドウ膜炎、陰部潰瘍、いずれもみられておらず、否定的。
b 悪性関節リウマチでは高安動脈炎と比べ、細い血管が障害される。鎖骨下動脈クラスの太い血管が障害される病態ではない。
c 結節性多発動脈炎もb同様、細い血管の障害。
d 顕微鏡的多発血管炎はb・cよりもさらに細い血管の障害。
e 正しい。上記の通り。

正答率:99%

テーマ:高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉の診断

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