113A48

82歳の男性。疲労感を主訴に来院した。3か月前から顔面が蒼白であることを指摘され、息切れと疲労感を自覚するようになった。2か月前から味覚異常と手足のしびれとを感じていた。3週間前から疲労感が増悪するため受診した。20年前に胃癌に対し胃全摘術を受けた。身長172cm、体重56kg。体温36.2℃。脈拍92/分、整。血圧102/66mmHg。呼吸数18/分。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。上腹部正中に手術痕を認める。両側下腿に軽度の浮腫を認める。両下肢に末梢優位の感覚障害を認める。血液所見:赤血球162万、Hb 6.2g/dL、Ht 21%、白血球3,300、血小板11万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン2.8g/dL、総ビリルビン1.6mg/dL、AST 24U/L、ALT 32U/L、LD 648U/L(基準176~353)、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖106mg/dL。

まず投与すべきなのはどれか。

鉄剤
亜鉛製剤
ニコチン酸製剤
カルシウム製剤
ビタミンB$_{12}$製剤

解答: e

113A48の解説

高齢男性の疲労感。貧血に加え、味覚異常と手足のしびれがある。20年前に胃全摘術の既往があり、これに端を発した病態と考えられる。汎血球減少も認めており、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血が考えやすい。本疾患にはHunter舌炎や末梢神経障害を合併することを確認されたい。
a 胃全摘術後には鉄欠乏性貧血にもなりやすいが、今回の主病態ではない。
b 亜鉛欠乏では肢端性皮膚炎がみられる。
c ニコチン酸(ビタミンB3欠乏)ではペラグラをみる。
d カルシウム欠乏単独で貧血はみない。
e 正しい。ビタミンB12欠乏が原因の病態である。

正答率:95%

テーマ:巨赤芽球性貧血(ビタミンB12不足型)の治療薬

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