113A25

18歳の女子。普段と様子が違うことを心配した母親に連れられて来院した。昨日、以前から付き合っていた男性と別れることになったとつらそうな表情で号泣しながら帰宅した。2時間後に母親が声をかけると「お母さん、いつものお菓子作ってね」と普段と異なる幼児的な甘えた態度で訴えた。本人が帰宅した時のつらそうな様子について母親が尋ねても「何のこと」と答え、全く記憶していなかった。神経診察を含めた身体診察に異常を認めない。血液検査、脳画像検査および脳波検査で異常を認めない。

この患者について正しいのはどれか。

昏迷状態である。
入院治療が必要である。
認知行動療法が有効である。
統合失調症の初期である可能性が高い。
ストレスとなった出来事に対する追想障害である。

解答: e

113A25の解説

普段と様子が違う若年女子。以前から付き合っていた男性と別れるストレスを契機に、普段と異なる幼児的な甘えた態度(いわゆる "別人格")や一過性の記憶消失(健忘)がみられている。解離性障害が考えやすい。
a 外界からの刺激に反応できなくなった状態を昏迷状態と呼ぶ。本文からは読み取れない。
b 現在各所見に異常はみられておらず、入院治療は不要である。
c 認知行動療法は強迫性障害や不安障害に有効。
d 統合失調症とは関係がない病態である。
e 正しい。解離性健忘がみられていたものと考えられる。

正答率:73%

テーマ:解離性健忘について

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