113A13

尿へのナトリウム排泄低下を伴う低ナトリウム血症をきたすのはどれか。2つ選べ

肝硬変
心不全
SIADH
Addison病
サイアザイド系利尿薬

解答: a,b

113A13の解説

まず大前提として、抗利尿ホルモン〈ADH〉の分泌が体内で亢進すると、尿細管からの水分吸収が増え、(むろん尿細管からNaの再吸収も同時に増えるのだが、それ以上に水の再吸収のほうが多く、)血液は希釈され、低ナトリウム血症を呈することは知っておくべきだ。(もちろん全てではないが)全身性の浮腫を呈する疾患では、循環血液量の低下により、ADH分泌が亢進し、低ナトリウム血症をみることが多い
a 正しい。肝でのアルブミン合成低下により、血漿膠質浸透圧が低下し、間質への水分移行がみられる(全身性浮腫をみるパターン)。ゆえに低ナトリウム血症を呈する。冒頭で示した通り、尿細管での水分吸収が亢進するのとセットでNaも再吸収がupするため、尿中ナトリウム排泄低下を伴う。
b 正しい。心機能低下により静脈還流量が低下し、毛細血管内圧が上昇し血管外に水分が移行し浮腫をきたす(全身性浮腫をみるパターン)。ゆえに低ナトリウム血症を呈する。冒頭で示した通り、尿細管での水分吸収が亢進するのとセットでNaも再吸収がupするため、尿中ナトリウム排泄低下を伴う。
c SIADHはADHの過剰分泌をみる疾患である。ゆえに低ナトリウム血症を呈する。ここまでは肝硬変や心不全と同じなのだが、ADHの分泌が過剰すぎ、今度は体液が増加傾向(あくまで説明のためのベクトルの方向性である;実際はSIADHにて浮腫や腹水、血圧上昇はみない)になってしまうのがSIADHという病態の変わっているところだ。ゆえに腎血流増加からの、レニン分泌が抑制され、Aldも抑制される。これにより、尿中ナトリウム排泄は増加する。
d アルドステロンが低下することで、尿細管でのナトリウム再吸収がしにくくなる。よって血中ナトリウム濃度は低下し、尿中ナトリウム排泄量は増加する。
e サイアザイド系利尿薬は尿細管でのナトリウム再吸収を阻害することで、一緒に水分も排泄し、利尿を図る薬剤である。したがって、低ナトリウム血症と尿中ナトリウム排泄量増加を示す。

正答率:82%

テーマ:尿中Naの排泄低下を伴う低ナトリウム血症をきたす病態

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