112F58

25歳の男性。研修医1年目。2か月前にこの病院に就職した。担当患者の採血をしていたところ針刺し事故を起こした。研修医が担当していた患者はC型慢性肝炎を合併しており、現時点でウイルスは排除されていない。研修医の就職時の検査ではHCV抗体は陰性であった。針刺し後、すぐに流水中で傷口から血液を絞り出した。その直後、院内の感染対策部署の医師に連絡をした。

連絡を受けた医師の研修医への説明として適切なのはどれか。

「今すぐワクチンを接種しましょう」
「今すぐガンマグロブリンを投与しましょう」
「C型肝炎を発症する確率は約20%と言われています」
「1週間後にC型肝炎ウイルス感染の有無の検査をしましょう」
「1週間は医療行為ができませんので、自宅で待機してください」

解答: d

112F58の解説

1年目研修医の針刺し。研修医自身に抗体はなく、患者はC型慢性肝炎のウイルスを持っているという。十分に感染が考えられる、ヒヤッとする局面だ。
a C型肝炎のワクチンは存在しない。
b B型肝炎のケースではガンマグロブリン投与が推奨されるが、C型肝炎ではこうした治療が存在しない。BとCを混同して覚えていた約30%の受験生が本選択肢を選び、失点してしまった。
c 発症確率は数%とされる。
d 正しい。経過観察とし、1週後、1〜2か月後、etc... と採血により動向を追うこととなる。
e このような決まりはない。通常通りの業務継続が可能だ。
※現時点ではC型肝炎に対する特異的予防策がない、ということが強調された問題。が、数年後にはまた話が変わっているかもしれない。特に専門領域を志す者はup to dateな情報に敏感でいよう。

正答率:56%

テーマ:針刺しをした研修医への感染対策部門医師の説明(C型肝炎)

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