112F45

62歳の男性。下肢脱力のため救急車で搬入された。ほとんど食事を摂らずに連日大量の飲酒を続けており、昨日も軽い朝食以後食事をせず泥酔状態でフローリングの床の上で寝入ってしまった。本日午前5時に目覚めたが足に力が入らず歩行が困難であったため、電話まで這っていき午前6時に救急車を要請した。冷房装置のない蒸し暑い部屋に独居している。意識は清明。身長165cm、体重62kg。体温36.1℃。心拍数124/分、整。血圧86/54mmHg。呼吸数28/分。SpO2 96%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腰背部痛と両大腿の筋痛とを認める。構語障害を認めない。両下肢筋力は徒手筋力テストで2と低下を認めるが、その他の神経学的所見に異常を認めない。尿所見:色調は暗褐色、比重1.022、pH 6.0、蛋白2+、糖(±)、ケトン体1+、潜血3+、ビリルビン(―)、沈渣に赤血球1〜4/1視野、白血球2〜3/1視野、硝子円柱と顆粒円柱とを認める。血液所見:赤血球330万、Hb 12.0g/dL、Ht 33%、白血球14,700、血小板17万。

最も考えられるのはどれか。

脳梗塞
尿路結石
尿路感染症
横紋筋融解症
急性糸球体腎炎

解答: d

112F45の解説

高齢男性の下肢脱力。昨日、フローリングの床(おそらく固い)の上で寝入ってしまったという。食事摂取がほとんどなく、冷房装置のない蒸し暑い部屋に住んでいるとのことで脱水や熱により筋崩壊が促進され、横紋筋融解症を呈したものと考えられる。尿潜血3+にもかかわらず尿沈渣に赤血球が出現していないのも筋崩壊を示唆する。
a 下肢筋力低下を除き、神経学的所見に異常を認めておらず、脳梗塞は否定的。
b 尿沈渣にて赤血球が陽性となるはず。
c 尿沈渣にて白血球が陽性となるはず。
d 正しい。上記の通り。
e 急性糸球体腎炎由来の尿潜血陽性であっても、尿沈渣にて赤血球が陽性となるはず。

正答率:96%

テーマ:横紋筋融解症の診断

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