112E40

52歳の男性。突然の心停止のため救急車で搬入された。マラソン競技大会で走行中に突然倒れ、直後から呼びかけに反応なく、呼吸もなかった。現場で大会救護員が胸骨圧迫を開始し、AEDによる音声指示でショックを1回施行した。救急隊到着時の意識レベルはJCS III-300。頸動脈の拍動は触知可能であった。救命救急センター搬入時の意識レベルはGCS 6。心拍数96/分(洞調律)。血圧108/72mmHg。呼吸数24/分。SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。

脳保護のために行うべき治療はどれか。

人工過換気
体温管理療法
静脈麻酔薬投与
高浸透圧利尿薬投与
副腎皮質ステロイド投与

解答: b

112E40の解説

中年男性がマラソン大会中に突然倒れ、心肺停止状態となった。救急搬送されたが、GCS 6と厳しい状態だ。この状況で脳を保護するために行う治療を問う問題。
a 過換気によりPaCO2を低下させると脳血管が収縮する。これにより脳虚血が悪化してしまう。
b 正しい。体温を低下させることで脳保護が狙える。2015年の蘇生ガイドラインでは心拍再開後に質問に対する意味のある応答がないケースやGCS≦8のケースでは少なくとも24時間の体温管理療法(32〜36℃に維持する)を行うことが推奨されている。32〜34℃に一定期間体温を低下させる脳低温療法とは厳密には区別されるが、大まかな趣旨や原理としては類似している。
c 静脈麻酔薬にも脳保護作用があるようだが、専門的すぎて誰も知らず、本選択肢を選んだ受験生は0.4%しかいなかった。エビデンス的に確固たるものがなく、bを捨ててまで選択するべきではない。
d 脳浮腫に対して有用。本症例では頭部CT等が実施されておらず、原因不明な段階で導入すべき治療ではない。
e 脳保護に有用という報告はない。

正答率:32%

テーマ:脳保護のために行うべき治療

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