112D73

66歳の男性。両下腿の浮腫と体重増加とを主訴に来院した。10年以上前に糖尿病と診断され治療を受けていたが、最近は医療機関を受診していなかった。3か月前に両下腿の浮腫が出現し浮腫の増悪と4kgの体重増加とを自覚したために受診した。腎疾患の家族歴はない。身長165cm、体重75kg。脈拍76/分、整。血圧138/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、血管雑音を聴取しない。顔面および下腿に圧痕性の浮腫を認める。尿所見:蛋白4+、潜血(―)、尿蛋白4.2g/日。血液所見:赤血球380万、Hb 12.0g/dL、Ht 38%、白血球8,800、血小板24万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン2.6g/dL、尿素窒素25mg/dL、クレアチニン1.8mg/dL、尿酸6.8mg/dL、HbA1c 7.2%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール280mg/dL。

蛋白尿の原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。

膜性腎症
糖尿病腎症
Alport症候群
腎血管性高血圧症
尿酸腎症〈痛風腎〉

解答: a,b

112D73の解説

高齢男性の浮腫。尿蛋白4+、血中アルブミン2.6g/dLとネフローゼ症候群の診断基準を満たす。考えられる原因を絞り込む良問。
a 正しい。高齢男性のネフローゼ症候群では候補に挙げたい病態。
b 正しい。糖尿病とすでに診断されており、第一に考えたい病態。
c Alport症候群は遺伝疾患であり、高齢者で初発することは考えにくい。また、血尿もみられるはずだ。
d 血圧は高値となっていない。腹部に血管雑音も聴取されておらず、否定的。
e 血中尿酸値は6.8mg/dLとそこまで高値ではなく、あえて尿酸腎症〈痛風腎〉を考えることはない。

正答率:90%

テーマ:ネフローゼ症候群・蛋白尿の原因

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