112D59

68歳の男性。発熱と皮疹とを主訴に来院した。5日前から持続する38℃台の発熱と顔面、頸部および体幹を中心に紅斑が出現し、次第に拡大融合したために受診した。三叉神経痛に対し6週間前からカルバマゼビンを内服中であった。体温38.6℃。脈拍88/分、整。血圧140/86mmHg。口腔粘膜と咽頭とに異常を認めなかった。頸部と鼠径部とに径2cmのリンパ節を2個ずつ触知した。肝・脾は触知しなかった。血液所見:赤血球420万、Hb 14.0g/dL、Ht 43%、白血球16,000(桿状核好中球7%、分葉核好中球49%、好酸球23%、単球6%、リンパ球12%、異型リンパ球3%)、血小板34万。血液生化学所見:総ビリルビン1.0mg/dL、AST 110U/L、ALT 345U/L、γ-GTP 250U/L(基準8〜50)、クレアチニン1.2mg/dL。免疫血清学所見:CRP 3.1mg/dL、VCA-IgG抗体陰性、抗EBNA抗体陰性、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価20倍(基準10以下)。体幹部の写真を別に示す。

3週間後の採血で、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価は1,280倍であった。

最も考えられるのはどれか。

麻疹
伝染性紅斑
伝染性単核球症
中毒性表皮壊死症
薬剤性過敏症症候群

解答: e

112D59の解説

高齢男性の発熱と発疹。「6週間前からカルバマゼピンを内服中」「抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価」上昇、というキーワードから薬剤性過敏症症候群〈DIHS〉の診断は容易。画像では前胸部〜腹部にかけての広範な紅斑が指摘可能。
a 二峰性の発熱や口腔内koplik斑をみる。
b 顔面の紅斑や四肢のレース状皮疹をみる。
c VCA-IgG抗体やEBNA抗体が陽性となる。急性期であれば陽性とならないかもしれないが、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価上昇はない。異型リンパ球が陽性というところから導かれた選択肢と思われる。
d 薬疹ではあるが、内服後数日でやってくる。6週間も空くことはない。また、Nikolsky現象が陽性の重篤な紅斑が出現する。
e 正しい。上記の通り。

正答率:96%

テーマ:薬剤性過敏症症候群〈DIHS〉の診断

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