112D58

45歳の女性。息切れを主訴に来院した。6か月前にRaynaud現象と両手のこわばりが出現した。2か月前から労作時の息切れを自覚していたが、1週間前から増悪したため受診した。意識は清明。体温36.5℃。脈拍80/分、整。血圧130/80mmHg。呼吸数22/分。SpO2 95 % (room air)。両肘関節より遠位部および背部に暗紫色斑と皮膚硬化とを認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内に異常を認めない。心音では、II音の亢進と胸骨左縁第4肋間にIII/VIの吸気で増強する収縮期雑音とを認める。呼吸音に異常を認めない。下腿に軽度の浮腫を認める。尿所見:蛋白(―)、潜血(―)。血液所見:Hb 12.9g/dL、白血球7,800、血小板46万。血液生化学所見:尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、KL-6 430U/mL(基準500未満)。免疫血清学所見:CRP 1.4mg/dL、抗核抗体320倍(基準20以下)、抗Scl-70抗体 240U/mL(基準7未満)。心電図で右心負荷所見を認める。胸部エックス線写真で異常を認めない。

次に行うべき検査はどれか。

冠動脈造影
心エコー検査
気管支鏡検査
ポリソムノグラフイ
ガリウムシンチグラフイ

解答: b

112D58の解説

中年女性の息切れ。Raynaud現象、両手のこわばり、皮膚硬化と皮疹、抗Scl-70抗体などからは全身性硬化症〈SSc〉を考える。心電図で右心負荷所見がみられており、SScに由来する肺高血圧症であろう。胸骨左縁第4肋間の吸気で増強する収縮期雑音は肺高血圧症による三尖弁閉鎖不全症(Rivero-Carvallo徴候)。
a 虚血性心疾患を考えた際に実施する。
b 正しい。肺高血圧症の診断に有用な検査である。
c 気管支内の病変を考えた際に実施する。
d 睡眠時無呼吸症候群を考えた際に実施する。
e 悪性腫瘍や炎症性疾患の広がりをみる際に実施する。

正答率:99%

テーマ:全身性硬化症〈SSc〉(強皮症)にて右心負荷をみる患者に行う検査

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