112C29

救急外来で小児を診察した研修医から指導医への報告を次に示す。

研修医「3歳の男の子です。本日18時に突然腹痛が出現したため来院しました。痛みの部位ははっきりしません。全身状態は良好で嘔吐や発熱はなく、身体所見では腹部膨満があります。腸雑音は異常ありませんでした。鑑別のため腹部エックス線撮影、腹部超音波検査、血液検査を行いたいと思います」

指導医「排便の状況はどうですか」

研修医「排便は3日間ないそうです」

指導医「腹部の圧痛や反跳痛はありますか」

研修医「どちらもありませんでした」

指導医「検査より先に行う処置は何かありますか」

研修医「(ア)が良いと思います」

指導医「そうですね。では一緒に診察に行きましょう」

研修医の正しい判断として(ア)にあてはまるのはどれか。

浣腸
経鼻胃管の挿入
経静脈的な補液
ペンタゾシンの投与
酸化マグネシウムの投与

解答: a

112C29の解説

3歳男児の腹痛。3日間、排便がないのが問題。これによる腹部膨満がみられている。全身状態は良好で、その他特記すべき検査異常もみられない。便秘症が考えやすい。
a 正しい。浣腸により排便を促すことで腹痛は改善する。
b 胃内容を吸引するのに用いられるが、特に吸引する必要性はなさそうだ。
c 脱水状態ではなく、口から飲むことも可能。経静脈的補液の必要はない。
d ペンタゾシンは鎮痛薬。痛みに対する対症療法を真っ先に考えるより、便秘の改善を狙うのが現実的。
e 下剤の一種。効果発現まで時間がかかるため、この児への現在の対応としては不適切。

正答率:83%

テーマ:便秘を疑う患者に対する研修医の正しい判断

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