112C26

日齢21の新生児。母子手帳の便色カードを見て、便の色が薄いことに気付いた母親に連れられて来院した。在胎39週、出生体重2,800gで出生し、出生時に異常は指摘されなかった。完全母乳栄養である。体重3,200g。体温37.0℃。心拍数110/分、整。血圧80/40mmHg。呼吸数32/分。SpO2 98% (room air)。四肢を活発に動かしている。皮膚および眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は軽度膨満しており、肝を肋骨弓下に3cm触知する。腸雑音の亢進はない。患児の便の写真を別に示す。

母親への説明で適切なのはどれか。

「母乳をやめましょう」
「すぐに血液検査をしましょう」
「1週間後に便を持参してください」
「便の細菌を調べる必要があります」
「この便の色であれば再受診の必要はありません」

解答: b

112C26の解説

日齢21の新生児にみられた、灰白色便と黄疸。完全母乳栄養であり、「黄疸」という情報だけからは母乳性黄疸の可能性も否定はできないが、その場合は経過観察でよい(母乳も継続してよい)ため特に問題とならない。問題なのは胆道閉鎖症だった場合だ。この場合にはすみやかに手術が必要となり、機を逸してしまうと肝不全となり肝移植以外生存の道が断たれてしまう。
a 上記の通り、たとえ母乳性黄疸だったとしても、母乳を中止する必要はない。
b 正しい。直接ビリルビンが上昇しているのか、間接ビリルビンが上昇しているのか。上昇の程度はどのくらいか。ASTやALT、アルブミンといった肝機能を表す値は上昇しているか。といった情報を得ることができる。すみやかに実施すべきだ。
c 1週間待つ意義に乏しく、すみやかな対応が要求される。
d 細菌感染は考えにくい。
e すみやかな対応が必要であり、このような対応は禁忌。実際に本番でも禁忌判定された選択肢のようだ。

正答率:66%

テーマ:便色カードより気づかれた閉塞性黄疸への説明

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