112A68

35歳の女性。職場の健康診断で肝機能検査の異常を指摘されて来院した。自覚症状はない。昨年も同様の指摘をされたがそのままにしていた。飲酒は機会飲酒。常用薬はなく、自然食品やサプリメントも服用していない。身長163cm、体重56kg。体温36.3℃。脈拍56/分、整。血圧116/62mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。下肢に浮腫を認めない。血液所見:赤血球325万、Hb 12.0g/dL、Ht 32%、白血球5,300、血小板27万、PT-INR 1.0(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.3g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 36U/L、ALT 42U/L、ALP 852U/L(基準115〜359)、γ-GTP 542U/L(基準8〜50)、空腹時血糖85mg/dL、HbA1c 5.4%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール254mg/dL、トリグリセリド95mg/dL。HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。

考えられるのはどれか。2つ選べ。

急性胆管炎
自己免疫性肝炎
原発性硬化性胆管炎
原発性胆汁性胆管炎
非アルコール性脂肪性肝炎

解答: c,d

112A68の解説

壮年女性の肝機能異常。AST, ALT上昇に比べ、ALP, γ-GTPが高度上昇しており、胆道系疾患を考える。この段階では確定診断に至らないため、選択肢から絞り込んでいこう。
a 発熱など炎症症状がみられておらず、急性胆管炎は否定的。
b・e これら疾患であれば、その名に「肝炎」と含むことからも分かるように、AST, ALTの値がもっと上昇する。
c 正しい。与えられた情報に矛盾しない。
d 正しい。こちらも矛盾しない。

正答率:53%

テーマ:原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉または原発性硬化性胆管炎〈PSC〉の診断

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