112A65

68歳の女性。4回経産婦。外陰部の腫瘤感と歩行困難とを主訴に来院した。5年前から夕方に膣入口部に径3cmの硬い腫瘤を触れるようになり指で還納していた。1年前から還納しにくくなり、歩行に支障をきたすようになった。身長150cm、体重58kg。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧134/88mmHg。呼吸数18/分。腹部は軽度膨満、軟で、腫瘤を触知しない。腹部超音波検査で子宮体部に異常を認めないが、子宮頸部は6cmに延長している。いきみによって、子宮膣部は下降して膣外に達する。血液生化学所見に異常を認めない。

対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

手術
放射線照射
ペッサリー挿入
抗コリン薬投与
自己還納法指導

解答: a,c

112A65の解説

高齢女性(4回経産婦とのことで骨盤底筋群が弛緩している可能性を念頭におく)の外陰部腫瘤感と歩行困難。膣入口部から硬い腫瘤が出てきており、超音波検査にて子宮頸部の延長がみられている。子宮脱である。
a 正しい。根治療法として外科手術が可能。
b 悪性腫瘍などに有用。
c 正しい。子宮が落ちてこないよう、ペッサリーを挿入する。
d 過活動膀胱や切迫性尿失禁に有用。
e すでに1年前から還納しにくくなっており、対応として不十分。本文にキチンと書いてあるにも関わらず、約50%の受験生が本選択肢を選んでしまった。一方、cを選べた者は約60%であり、ペッサリー(避妊の用途と、骨盤内臓器の降下防止の用途の2つがある)についての理解が112回当時は不十分だったということであろう。本稿をお読みの方はしっかりと押さえておこう。

正答率:50%

テーマ:子宮脱への対応

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