112A54

32歳の男性。左大腿の腫瘤を主訴に来院した。3か月前に径6cmの左大腿の腫瘤に気付き様子をみていたところ、増大して径10cmとなったため受診した。これまでの健診で異常は指摘されていない。意識は清明。身長172cm、体重78kg。体温36.3℃。脈拍72/分、整。血圧126/78mmHg。胸腹部に異常を認めない。左大腿近位内側に弾性硬の腫瘤を触知するが、発赤、腫脹および圧痛はない。皮膚との可動性は良好だが、深部との可動性は不良である。血液生化学所見に異常を認めない。左大腿近位MRIのT1強調像(A)とT2強調像(B)とを別に示す。

最も可能性が高いのはどれか。

膿瘍
粉瘤
脂肪腫
悪性軟部腫瘍
ガングリオン

解答: d

112A54の解説

壮年男性の左大腿部腫瘤。腫瘤内部は弾性硬であり、皮膚との可動性は良好で、深部との可動性は不良だという。MRIでは筋内にT1強調像で等信号、T2強調像で高信号をメインとした内部不均一な腫瘤性病変が指摘可能。
a 膿瘍であれば発赤や圧痛がある。
b 粉瘤は皮膚由来の角質や脂質が脱落せず、嚢胞状に溜まって構成される。そのため皮下にできる病変であり、可動性は深部ではなくむしろ皮膚と不良となりやすい。
c 脂肪成分であればT1, T2強調像とも高信号となる。
d 正しい。たった3か月で4cmの増大があり、深部との可動性も不良。筋内の悪性軟部腫瘍が考えやすい。
e ガングリオンは関節や腱鞘近くに発生しやすく、かつ内部は均一となる。ここまで急速な増大もみない。

正答率:64%

テーマ:悪性軟部腫瘍の診断

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