111I63

58歳の女性。全身倦怠感と褐色尿が続くために来院した。5日前にインフルエンザのため抗ウイルス薬と解熱薬とを処方された。治療開始後、全身倦怠感と褐色尿が続いている。数年前から感冒に罹患すると褐色尿になることを自覚していた。体温36.3℃。眼險結膜は貧血様だが眼球結膜に黄染を認めない。心基部に収縮期雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球287万、Hb 7.2g/dL、Ht 25%、網赤血球3.3%、白血球5,400(桿状核好中球5%、分葉核好中球58%、好酸球2%、単球6%、リンパ球29%)、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン2.4mg/dL、AST 20U/L、ALT 18U/L、LD 2,643U/L(基準176〜353)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、尿酸3.2mg/dL。CD55とCD59が陰性の赤血球を認める。

この患者の所見として考えにくいのはどれか。

Coombs試験陰性
骨髄赤芽球過形成
尿中へモジデリン陽性
血清ハプトグロビン高値
GPIアンカー蛋白欠損赤血球

解答: d

111I63の解説

感冒後の褐色尿。貧血がみられ、網赤血球数の増加とLDの高度上昇から溶血を考えたい。CD55とCD59が陰性の赤血球を認めており、発作性夜間ヘモグロビン尿症〈PNH〉の診断となる。
a Coombs試験は自己免疫性溶血性貧血〈AIHA〉で陽性となる。PNHでは陰性。
b 溶血によるフィードバックで骨髄の赤芽球は過形成となる。
c ヘモジデリン(ヘモグロビンの分解過程)が尿中へ流出する。
d 誤り。溶血により、ハプトグロビンは低値となる。
e GPIアンカー蛋白の欠損がPNHの病態の本質である。

正答率:90%

テーマ:発作性夜間ヘモグロビン尿症〈PNH〉の所見

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