111I57

13歳の女子。下肢の浮腫を主訴に母親に連れられて来院した。半年前の学校検尿で蛋白尿と尿潜血とを指摘され、近くの小児科で専門医療機関の受診を勧められていたが、自覚症状がないため受診していなかった。身長154cm、体重53kg。脈拍72/分、整。血圧114/60mmHg。尿所見:蛋白3+、潜血2+、沈渣に赤血球10〜29/1視野、脂肪円柱3/1視野、尿蛋白3.8g/日。血液所見:赤血球510万、Hb 16.9g/dL、Ht 48%、白血球9,600、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白5.1g/dL、アルブミン3.0g/dL、IgA 280mg/dL(基準110〜410)、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、尿酸4.5mg/dL、総コレステロール260mg/dL。C3 18mg/dL(基準52〜112)。腎生検のPAS染色標本(A)と蛍光抗体C3染色標本(B)とを別に示す。

この患者の診断はどれか。

IgA腎症
巣状分節性糸球体硬化症
微小変化群
膜性腎症
膜性増殖性糸球体腎炎

解答: e

111I57の解説

若年女子の下腿浮腫。尿蛋白3+、血中アルブミン≦3g/dLよりネフローゼ症候群の診断。補体低値があり、溶連菌感染後急性糸球体腎炎〈PSAGN〉・膜性増殖性糸球体腎炎〈MPGN〉・ループス腎炎、の3つを想起する(PSAGNはネフローゼ症候群を呈しにくいので実質的には2択)。画像ではAにて糸球体の分葉像と基底膜の二重化が、Bにて補体の沈着がみられており、MPGNの診断。
a ネフローゼ症候群を呈しにくい。補体低下もない。
b 糸球体像では結節性病変がみられる。補体低下もない。
c 糸球体像は正常である。補体低下もない。
d 糸球体像では基底膜の肥厚やspike形成をみる。補体低下もない。
e 正しい。上記の通り。

正答率:87%

テーマ:膜性増殖性糸球体腎炎の診断

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