111I55

52歳の女性。複視の精査と治療のため入院中である。2か月前から夕方に車を運転しているとセンターラインが二重に見えるようになり、1か月前から右のまぶたが開けにくくなってきた。自宅近くの医療機関を受診し、頭部MRIで異常がないと説明されたが、症状が改善しないため受診した。来院時、右側に眼瞼下垂を認め、右眼の外転が軽度制限されていた。両上肢の近位筋にも軽度の筋力低下がみられた。エドロホニウムテスト陽性。抗アセチルコリン受容体抗体50.0nmol/L(基準0.3以下)。抗コリンエステラーゼ薬を処方されたが、症状が改善しないため入院した。胸部造影CTを別に示す。

最も適切な対応はどれか。

放射線療法
縦隔リンパ節生検
ステロイドパルス療法
胸腺腫を含む拡大胸腺摘出術
抗コリンエステラーゼ薬増量

解答: d

111I55の解説

夕方に増悪する複視。エドロホニウムテスト陽性、抗アセチルコリン受容体抗体陽性、CTにおける胸腺腫の存在、などより重症筋無力症〈MG〉の診断は難しくない。
a MG(またはその背景にある胸腺腫)に放射線治療は無効。
b リンパ増殖性疾患や癌のリンパ節転移に有効。
c ステロイドパルス療法もMGには有効だが、第一選択とはならない。
d 正しい。背景にある胸腺腫を摘出する。
e すでに抗コリンエステラーゼ薬が効きにくくなっているため、増薬はコリン作動性クリーゼを惹起する危険がある。

正答率:91%

テーマ:重症筋無力症〈MG〉への対応

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