111H37

次の文を読み、37、38の問いに答えよ。

26歳の男性。左胸痛と息苦しさとを主訴に来院した。

現病歴:昼ごろに咳込んだ際、左胸痛が出現した。しばらく様子をみていたが改善せず、呼吸困難も出現したため夜間救急外来を家族とともに受診した。

既往歴:16歳時に右側、18歳時に左側で同様の症状のため通院。

生活歴:会社員。独身。両親と同居。喫煙は15本/日を5年間。飲酒は機会飲酒。

家族歴:特記すべきことはない。

現 症:意識は清明。身長172cm、体重52kg。体温36.9℃。脈拍84/分、整。血圧112/76mmHg。呼吸数16/分。SpO2 94%(room air)。皮膚と口腔内は乾燥している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音に異常を認めない。呼吸時に胸郭の動きに左右差を認める。呼吸音は左側で減弱しているが、副雑音は聴取しない。左胸部の打診は鼓音を呈している。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。

検査所見:血液所見:赤血球480万、Hb 15.5g/dL、Ht 47%、白血球8,400(桿状核好中球30%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白7.3g/dL、アルブミン4.7g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 20U/L、ALT 18U/L、LD 195U/L(基準176〜353)、ALP 189U/L(基準115〜359)、クレアチニン0.6mg/dL、Na 137mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 0.3mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 39Torr、PaO2 62Torr、HCO3- 24mEq/L。

立位で胸部エックス線撮影を行った。

想定される所見はどれか。

左肺野多発腫瘤影
左肺野浸潤影
左肋骨骨折
左肺虚脱
胸水貯留

解答: d

111H37の解説

突然発症の胸痛と呼吸苦を主訴に来院した26歳男性。酸素化不良と左呼吸音の減弱を認め、打診では鼓音を呈している。血液検査上異常はなく、左気胸と診断する。
a 癌の肺転移などでみられる。この年齢・性別であれば精巣腫瘍の肺転移が考えやすい。
b 細菌性肺炎でみられやすい。肺炎によるものであれば発熱や炎症所見がみられ、副雑音が聴取されるはずである。
c 26歳男性が咳き込んだだけで肋骨骨折することは考えにくい。また、肋骨骨折単独で酸素化不良は認めない。
d 正しい。上記の通り気胸と考える。気胸であれば虚脱した肺が観察される。
e 胸水が貯留していれば打診にて濁音界を認める。

正答率:95%

テーマ:【長文1/2】気胸で予想される立位胸部エックス線所見

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