111D55

36歳の初産婦。妊娠29週。胎動減少を主訴に来院した。妊娠初期の血液検査で抗D抗体陽性(抗体価16倍)だったため経過観察されていた。妊娠27週の時点で抗D抗体が1,024倍であったが胎児超音波検査で異常を認めなかった。16年前、妊娠初期に人工妊娠中絶手術を受けている。輸血歴はない。胎児心拍数陣痛図を別に示す。

対応として適切なのはどれか。2つ選べ

母体の血清LD値を調べる。
胎児水腫の有無を確認する。
母体のヘモグロビン値を調べる。
抗D人免疫グロブリンを投与する。
胎児中大脳動脈血流速度を計測する。

解答: b,e

111D55の解説

血液型不適合妊娠。胎児心拍数陣痛図ではサイヌソイダルパターンが陽性であり、胎児の貧血を示唆する。胎児水腫をきたしている可能性が高い。
a・c 胎児の溶血によりLDやHbは変動しているかもしれないが、母体でこれらの指標を調べても仕方があるまい。
b 正しい。上記の通り。
d Rh陰性の初産婦には妊娠28週と分娩後72時間以内に抗D人免疫グロブリンを投与する(See 110I72)。本患者ではすでに抗D抗体が陽性であるため、適応とならない。
e 正しい。代償的な脳血流増加を疑い、胎児中大脳動脈血流速度を計測する。

正答率:80%

テーマ:血液型不適合妊娠(サイヌソイダルパターン+)への対応

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