111D50

72歳の男性。血尿を主訴に来院した。1か月前から間欠的に血尿を自覚していたが、3日前から右側腹部の違和感も出現したため受診した。尿所見:蛋白1+、糖(−)、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野、白血球2〜5/1視野。尿細胞診はクラスV。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めない。腹部造影CTの水平断像(A)と冠状断像(B)とを別に示す。全身検索でリンパ節転移と遠隔転移とを認めない。膀胱鏡検査で異常を認めない。尿管鏡による生検で高異型度尿路上皮癌の細胞を認める。

治療法として適切なのはどれか。

腎摘出術
腎瘻造設術
腎尿管全摘術
尿管ステント留置
腎尿管膀胱全摘術

解答: c

111D50の解説

尿細胞診クラスVであり、悪性腫瘍を考える。すでに本文中に「高異型度尿路上皮癌」との情報もある。画像ではA, Bともに腎盂由来と思われる腫瘍が同定され、腎実質への浸潤をみる。腎盂癌の診断。
a 腎盂癌であるため、腎摘出術では不十分。
b・d 水腎症は呈しておらず、これらの処置は不要。
c 正しい。腎実質への浸潤もあるため、腎と尿管とを全摘する。
e 膀胱鏡検査で異常を認めておらず、膀胱まで全摘する必要はない。

正答率:76%

テーマ:腎盂癌の治療法

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