110I53

59歳の男性。易疲労感と発熱とを主訴に来院した。2か月ほど前から易疲労感を自覚していた。2週前に感冒様症状と37℃前後の微熱とを自覚し自宅近くの診療所で投薬を受けたが改善しなかった。身長169cm、体重66kg。体温37.5℃。脈拍92/分、整。血圧118/72mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。頸部、腋窩および鼠径部の表在リンパ節を触知しない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫や紫斑を認めない。血液所見:赤血球202万、Hb 6.9g/dL、Ht 19%、網赤血球0%、白血球59,400(桿状核好中球10%、分葉核好中球1%、単球0%、リンパ球5%、異型細胞86%)、血小板5万。血液生化学所見:総蛋白5.7g/dL、アルブミン3.5g/dL、AST 34U/L、ALT 45U/L、LD 756U/L(基準176〜353)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、Fe 134μg/dL。骨髄染色体検査では46,XYであった。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(A)とペルオキシダーゼ染色標本(B)とを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
多発性骨髄腫
急性骨髄性白血病
慢性骨髄性白血病
急性リンパ性白血病
慢性リンパ性白血病

解答: b

110I53の解説

「易疲労感と発熱」という主訴からは感染症の印象を受ける。そこで白血球数やCRPを能動的に探すわけだが、白血球59,400と著増しているためピンとくる。白血病などの造血器疾患により炎症所見がみられているのであろう。実際に選択肢の4/5は白血病であるため、丁寧に除外していけば正答にたどり着く。画像をみよう。Aでは白血病裂孔陽性の芽球がみられる。Bではペルオキシダーゼ染色が陽性であり(褐色調の部分)、急性骨髄性白血病〈AML〉と診断される。
a 白血球数の著増はみない。また、病理では異常形質細胞が出現する。
b 正しい。上記の通り。
c 白血病裂孔はみない。また、血小板数は低下しない。
d ペルオキシダーゼ染色が陰性となる。
e 白血病裂孔はみない。また、ペルオキシダーゼ染色が陰性となる。

正答率:56%

テーマ:急性骨髄性白血病〈AML〉の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック