110H37

次の文を読み、37、38の問いに答えよ。
75歳の男性。尿が出ないことと腹部の膨満感とを主訴に来院した。
現病歴:2日前からくしゃみと鼻汁のため市販の総合感冒薬を内服していた。昨夜から尿が出なくなり、下腹部の膨満感と疼痛が出現した。以前から尿が出にくく残尿感があったという。
既往歴:10歳時に虫垂切除術。
生活歴:無職。妻と2人暮らし。喫煙は45歳まで20本/日を25年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長175cm、体重80kg。体温36.7℃。脈拍88/分、整。血圧120/84mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。皮膚は乾燥。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内と咽頭とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。下腹部は緊満しており、恥骨上に圧痛を認める。
この患者に直腸指診を行った際の前立腺所見はどれか。
圧痛
熱感
一部が石様硬
可動性の消失
弾性硬の腫大

解答: e

110H37の解説

高齢男性が市販の総合感冒薬を服用した後から尿閉となっている。現症最後に示されている「下腹部は緊満しており、恥骨上に圧痛を認める」という記載は膀胱に尿が充満し、腫大していることを示唆する。原疾患としては前立腺肥大症〈BPH〉が考えられる。市販の総合感冒薬に含まれる抗コリン成分により、BPHが増悪したのであろう。
a・b 前立腺炎でみられる。
c・d 前立腺癌でみられる。
e 正しい。BPHでは前立腺が弾性硬で腫大している。

正答率:90%

テーマ:【長文1/2】前立腺肥大症〈BPH〉の直腸指診における前立腺所見

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