110G60

次の文を読み、60〜62の問いに答えよ。
78歳の男性。胃病変の精査と治療とを希望して来院した。
現病歴:2年前から心窩部痛を自覚していた。自宅近くの診療所で上部消化管造影検査を受け、異常を指摘されたため紹介されて受診した。上部消化管内視鏡検査で同様に異常所見を認め、4ヵ所の生検のうち1ヵ所は組織診断分類Group 5で、手術適応と考えられた。
既往歴:10年前から高血圧症で治療中。
生活歴:喫煙は30本/日を58年間。飲酒は日本酒2合/日を58年間。ADLは自立している。
家族歴:父親が胃癌。
現症:意識は清明。身長167cm、体重48kg。体温36.4℃。脈拍68/分、整。血圧130/80mmHg。呼吸数18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、心窩部に圧痛を認めるが腫瘤は触知しない。
検査所見:血液所見:赤血球310万、Hb 10.6g/dL、Ht 29%、白血球8,600、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.0g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 30U/L、ALT 42U/L、LD 350U/L(基準176〜353)、ALP 242U/L(基準115〜359)、γ-GTP 83U/L(基準8〜50)、アミラーゼ84U/L(基準37〜160)、CK 130U/L(基準30〜140)、尿素窒素5.0mg/dL、血糖108mg/dL、HbA1c 5.8%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール57mg/dL、コリンエステラーゼ300U/L(基準400〜800)、Na 140mEq/L、K 3.8mEq/L, Cl 100mEq/L。CRP 0.4mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.39、PaCO2 50Torr、PaO2 75Torr、HCO3 29mEq/L。呼吸機能検査:%VC 68%、FEV1% 54%。患者が持参した上部消化管造影像(A)と精査のため行った上部消化管内視鏡像(B)とを別に示す。
上部消化管内視鏡像の肉眼型はどれか。
0型
1型
2型
3型
4型

解答: e

110G60の解説

組織診断分類Group 5と示されており、胃癌を考える。Aにて胃の形の不整化を、Bにて胃皺襞の肥厚をみる。4型胃癌を考える。
a 早期癌である。
b 腫瘤型の進行癌である。
c 潰瘍限局型の進行癌である。
d 潰瘍浸潤型の進行癌である。
e 正しい。びまん浸潤型〈スキルス型〉の進行癌である。

正答率:64%

テーマ:【長文1/3】4型進行胃癌の診断

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