110G51

55歳の男性。脱力発作を主訴に来院した。半年前から右手に持っている箸を落としたり、数分間ろれつが回りにくくなるなどの症状に気付いていた。前日に同じ症状が生じ5分で消失したが、繰り返すことが心配になり受診した。糖尿病、高血圧症および脂質異常症に対して内服治療中である。意識は清明。身長172cm、体重76kg。体温36.6℃。脈拍76/分、整。血圧146/86mmHg。呼吸数16/分。左頸部に血管雑音を聴取する。神経学的所見に異常を認めない。血液所見:赤血球524万、Hb 15.8g/dL、Ht 45%、白血球8,700、血小板26万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 37U/L、ALT 45U/L、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、空腹時血糖120mg/dL、総コレステロール210mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 0.2mg/dL。胸部エックス線写真で異常を認めない。頭部単純CTと頭部MRIとで異常を認めない。入院の上、治療を行った。治療前後の左総頸動脈造影像(A、B)を別に示す。
施行したのはどれか。
動脈塞栓術
血栓溶解療法
脳動脈瘤塞栓術
頸動脈内膜剥離術
頸動脈ステント留置術

解答: e

110G51の解説

一過性の脳虚血症状を反復しており、一過性脳虚血発作〈TIA〉を考える。Aでは内頸動脈の起始部に狭窄を認めている。TIAの治療としては病変部の内膜剥離またはステント留置術が行われるが、本文ではBの画像をグッとにらめば自ずと正答に至る。
a 出血性疾患に有効。
b 血栓性疾患に有効。
c 動脈瘤に有効。
d TIAに有効であるも、画像Bより否定的。
e 正しい。画像Bにてステントがみえている。

正答率:82%

テーマ:一過性脳虚血発作〈TIA〉・頸動脈ステント留置術

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