110D28

78歳の男性。前胸部痛を主訴に来院した。胸痛は1時間前に朝食の準備をしていたところ突然生じ、前胸部から咽頭部、両頸部にかけての締め付けられる痛みで現在も持続している。高血圧症と脂質異常症で5年前から内服治療を継続している。意識は清明。身長166cm、体重72kg。体温36.8℃。脈拍40/分、整。血圧120/60mmHg。呼吸数18/分。SpO2 99%(room air)。心電図(A)を別に示す。心電図検査の後から、突然の一過性の意識消失発作を繰り返すようになった。この時の心電図モニターの波形(B)を別に示す。
直ちに投与すべき薬剤はどれか。
硝酸薬
β遮断薬
へパリン
アトロピン
t-PA〈tissue plasminogen activator〉

解答: d

110D28の解説

画像AではII, III, aVFにてST上昇がみられる。主訴と合わせ、下壁の急性心筋梗塞〈AMI〉と考えられる。画像BではP波はみられるも、それに続くQRS波がまばらであり、房室ブロック〈AVB〉を呈している。右冠動脈の閉塞により生じたAMIの合併症としてのAVBの診断。
a・c AMIに有効な薬剤ではあるが、現時点での主訴は意識消失発作である。
b 徐脈性不整脈の存在下にβ遮断薬を投与すると徐脈が悪化する。禁忌。
d 正しい。徐脈発作に有効な薬剤である。
e 血栓性の冠動脈狭窄に有効であるも、本剤とて意識消失発作自体に著効するわけではない。

正答率:74%

テーマ:急性心筋梗塞〈AMI〉後の症候性徐脈に直ちに投与すべき薬剤

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