110B48

7歳6か月の女児。乳房腫大を心配した母親に連れられて来院した。半年前から左乳房が腫大し、最近になり右乳房の腫大にも気付いたという。意識は清明。身長130cm、体重29.7kg。体温36.1℃。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。 心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。 Tanner分類で乳房II度、陰毛I度である。血液所見:赤血球446万、Hb 14.1g/dL、Ht 40%、白血球5,800、血小板23万。血液生化学所見:AST 22U/L、 ALT 11U/L、LD 242U/L (基準176〜353)、ALP 1,331U/L (基準338〜908)、尿酸3.6mg/dL、血糖97mg/dL、TSH 3.6μU/mL(基準5.2〜14.4)、LH 0.8mIU/mL(基準1.8〜7.6)、FSH 2.9mIU/mL(基準0.5〜2.5)、FT4 1.3ng/dL(基準0.8〜2.2)、hCG 0.4mIU/mL未満(基準1.0以下)。骨年齢は8歳10か月相当である。成長曲線を別に示す。
患者家族への説明として適切なのはどれか。2つ選べ
「初潮が遅くなります」
「陰毛は生えてきません」
「もう少し様子をみましょう」
「脳腫瘍の可能性があります」
「このままでは最終身長が低くなります」

解答: d,e

110B48の解説

7歳6か月での乳房腫大。乳房のみの症候なのか、思春期早発なのか、の鑑別が重要となる。成長曲線では+1SDを超え、骨年齢が8歳10か月と促進しており、後者の可能性が高い。FSHが高値であるため、下垂体性の思春期早発症を考える。
a 初潮は早くなる。
b 陰毛発育も早くなる。
c 成長曲線が+2SD以下であるため、本選択肢で悩んだ受験生も多かったようだ。だが、ホルモン値の異常や骨年齢の促進といったデータが揃っている以上、経過観察すべきタイミングとは考えられない。
d 正しい。下垂体腫瘍からのホルモン産生が考えられる。
e 正しい。思春期早発症では最終身長が低くなる。
※2つ選べ、という出題である以上、cは他の選択肢と組み合わせることができない(「脳腫瘍の可能性がありますので、もう少し様子をみましょう」「このままでは最終身長が低くなりますので、もう少し様子をみましょう」などと言われたら、両親は憤慨するであろう)。

正答率:68%

テーマ:乳房腫大をみる7歳女児の家族への説明

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