110B49

75歳の男性。左上肢の脱力発作を主訴に来院した。高血圧症で治療を受けている。昨日の夕食時に、突然、左上肢に力が入らなくなったことを自覚した。様子を見ていたところ徐々に改善し、就寝時には自覚症状は消失した。本日朝、昨日の症状が心配になり受診した。意識は清明。体温36.7℃。脈拍84/分、整。血圧160/90mmHg、血圧の左右差を認めない。右頸部に血管雑音を聴取する。上肢Barré徴候は陰性である。胸部エックス線写真と頭部MRIで異常を認めない。
行うべき検査はどれか。3つ選べ
足関節上腕血圧比〈ABI〉測定
頸動脈エコー検査
Holter心電図
心エコー検査
脳波

解答: b,c,d

110B49の解説

左上肢の脱力発作がみられているも、自然消失していることから一過性脳虚血発作〈TIA〉を考える。右頸部に血管雑音を聴取することからアテローム性の背景が考えやすいが、「突然」という記載もあり、発作性心房細動〈PAF〉の存在による血栓性のTIAも考慮したい。
a TIAは頭部の問題であり、上肢や下肢は関係ない。
b 正しい。右頸動脈の狭窄を示したい。
c 正しい。PAFを拾うことができる。
d 正しい。左房内血栓の存在を確認できる。
e TIAの検査として脳波は必要ない。
※右頸動脈が(おそらく動脈硬化で)狭窄しているのだから、閉塞性動脈硬化症〈ASO〉や閉塞性血栓性血管炎〈TAO〉が存在するはず、と考えてaにいった受験生が多かった。が、冷静に考えてみよう。ASOやTAOが存在したからといって左上肢の脱力発作はみられない。臨床問題では必ず主訴に帰ること。また、医療経済の観点から、合併する疾患だからといって何でもかんでも精査すればよいというものではない。

正答率:49%

テーマ:一過性脳虚血発作〈TIA〉の検査

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