110B40

救急外来で小児を診察した研修医から指導医への報告を次に示す。
「3歳の男の子です。4日間発熱が続くため受診されました。体温は39.1℃で心音、呼吸音は正常、軟口蓋に出血斑を伴う発赤を認めました。両側の前頸部に1cm大のリンパ節を2個ずつ触知しました。また、体幹に粟粒大の紅色発疹を認めました。血液検査の結果は、白血球13,000、CRP 4.5mg/dLでした」
研修医の報告のうち、この患児の鑑別診断において最も有用なのはどれか。
体温39.1℃
出血斑を伴う軟口蓋の発赤
前頸部リンパ節腫脹
白血球13,000
CRP 4.5mg/dL

解答: b

110B40の解説

軟口蓋に出血斑を伴う発赤があり、頸部リンパ節を触知していること、CRP高値であることから溶連菌感染を考える。選択肢の中から「この情報を聞いたら誰しもが溶連菌感染を考えるであろう」と思われるものを選ぶこととなる。
a・d・e いわずもがな、非特異的な情報である。
b 正しい。溶連菌感染に特異度の高い情報である。
c 感染症のほか、リンパ腫等の血液疾患でもリンパ節腫脹はみられる。
※出題当時、「答えを一つに絞れない悪問であり、不適切問題になるのでは」といった声もささやかれた。が、何時間にもわたって行われる日常のカンファレンスならまだしも、救急外来の現場で入手した情報をチンタラ全て報告する研修医は使えない、という出題者のメッセージを感じる。あまりに決め打ちするのもよくないが、特異度の高い情報から順に指導医に報告せよ、という意図なのであろう。個人的には良問と感じた。
※とはいえ、上記の記載を真に受けて、本当に特異度の高い情報しか報告しないと、指導医によっては「丁寧にすべて診察せよ」と逆上するかもしれない。数多くの不条理な洗礼が臨床の現場では諸君を待っている。覚悟して社会人になってほしい。

正答率:75%

テーマ:感染症の鑑別診断に有用な研修医の報告

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