109I61

6歳の男児。2時間前に公園の遊具から転落して右肘を打って受傷したため搬入された。母親の話では受傷直後は指を動かしていたとのことであるが、次第に指の動きが少なくなり救急搬送された。既往歴に特記すべきことはない。脈拍92/分、整。血圧112/68mmHg。右上肢を痛がり動かさない。痛みが強く泣き止まず指を全く動かそうとしない。右肘から前腕近位は腫脹が強く、右橈骨動脈は触知できるが左側に比べると弱い。右手指を他動的に伸展させようとすると疼痛が増強する。感覚に関する検査は施行できなかった。右上肢の写真(A)と肘部エックス線写真(B、C)を別に示す。
次に行うべき検査はどれか。
動脈造影
右肘部CT
右肘部MRI
区画内圧測定
前腕周囲径計測

解答: d

109I61の解説

右肘を打って受傷した男児。画像Aでは右肘〜前腕の腫脹と皮下出血がみられている。画像B, Cでは上腕骨顆上骨折と骨の転移を指摘可能。108D54107I18と出題されてきた小児の上腕骨シリーズの続編。本問は107I18とほぼ同様の画像であり、上腕骨顆上骨折の診断である。
a 動脈造影で血流をみることはできるも、侵襲の割に得られる情報量が乏しく、治療にもつながらないため、現段階では不要。
b・c 上腕骨顆上骨折の診断はすでについており、不要。
d 正しい。上腕骨顆上骨折にはVolkmann拘縮を合併しやすく、そのため前腕屈筋群への虚血と区画内圧上昇が生じている可能性が高い。区画内圧測定を実施すべきである。
e 腫脹があることは歴然であり、周囲径の計測に意義はない。

正答率:83%

テーマ:上腕骨顆上骨折に由来するVolkmann拘縮の検査

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