109I60

30歳の女性。眼瞼下垂を主訴に来院した。20歳ころから両まぶたが下がってきたことと両側の難聴とを自覚していたが、最近、さらに物が見えにくくなったため受診した。意識は清明。身長144cm、体重36kg。脈拍80/分、整。血圧112/68mmHg。両側の眼瞼下垂を認める。眼球は正中に固定し、眼球頭反射を認めない。両側の高度感音難聴を認める。徒手筋力テストで四肢の近位筋は4に低下している。CK 190U/L(基準30〜140)。右大腿四頭筋で施行した筋生検のGomori-trichrome染色標本を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
皮膚筋炎
重症筋無力症
進行性核上性麻痺
ミトコンドリア脳筋症
筋強直性ジストロフィー

解答: d

109I60の解説

眼瞼下垂・両側高度感音難聴・CKの上昇、などから筋原性の筋力低下をみる合併症を考えたい。筋生検では赤色ぼろ線維〈ragged-red fiber〉がみられており(筋線維周辺の紫色の部分)、ミトコンドリア脳筋症の診断となる。細かな分類まで分かる必要はないと思われるが、慢性進行性外眼筋麻痺症候群〈CPEO〉が考えやすい。
a 筋生検にて炎症細胞の浸潤がみられる。
b 眼瞼下垂は合致するも、日内変動がみられていない。また、神経筋接合部〈NMJ〉の疾患であるため筋生検で異常はみられない。
c 眼球の上下転障害がみられることが特徴的。眼球頭反射はみられる。
d 正しい。上記の通り。
e 遠位筋優位の筋力低下をみる(本文中には近位筋の記載しかないが、おそらく近位筋優位の低下だと言いたいのだろう)。
※究極的にはd以外に両側高度感音難聴はみられない。ゆえに受験生の正答率も高かった。

正答率:82%

テーマ:ミトコンドリア脳筋症の診断

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