109I59

30歳の男性。挙児希望を主訴に来院した。結婚後の2年間、排卵日に性交渉をもったが妻は妊娠しなかった。28歳の妻は産婦人科を受診し異常を指摘されていない。腹部の視診と触診で異常を認めない。外陰部の触診で両側精管に異常を認めない。血液生化学所見:LH 3.2mIU/mL(基準1.8〜5.0)、FSH 23.3mIU/mL(基準2.0〜8.0)、テストステロン285ng/dL(基準201〜750)。染色体検査は46,XYであった。精巣容積は両側ともに6mL(基準10〜14)。精液検査で精液中に精子を認めない。精巣生検において精巣内に運動精子をわずかに認める。
この患者について正しいのはどれか。
乏精子症に分類される。
Klinefelter症候群である。
精管の閉塞の可能性が高い。
体外受精・胚移植の適応がある。
ゴナドトロピン補充療法が奏功する。

解答: d

109I59の解説

不妊(来院しているのが男性であり、妻は産婦人科で異常を指摘されていないことから男性不妊が考えやすい)の原因や治療を考える難問。情報が少なすぎるため、この男性の不妊の原因を診断することは不可能であるが、特発性造精機能障害が考えやすい。
a 定義の問題。本患者は「精子を認めない」とあるため、無精子症となる。
b 染色体が46,XYであるため、除外される(Klinefelter症候群は47,XXY)。
c 確かに「精巣中には運動精子を認めるのに、精液中に精子がない」という記載からは精管閉塞の可能性が考えられる。ただし、精管閉塞が究極的な原因なのだとすれば、精巣容量が小さいことや、FSHが基準値以上であること、などが説明つかない。
d 正しい。精巣中にわずかながら精子があるため、それを採取し、卵と受精させることで妊娠させる道は残っている。
e LHが基準値内で、FSHはむしろ高値であるため、ゴナドトロピンを補充しても意味はなさそうだ。

正答率:74%

テーマ:非閉塞性無精子症について

フォーラムへ投稿

関連トピック