109H31

次の文を読み、31、32の問いに答えよ。
62歳の男性。筋力低下を主訴に来院した。
現病歴:3か月前から階段の昇降に困難を感じていた。2か月前に顔面と頭皮との皮疹に気付いた。1か月前から整髪がしにくくなった。様子をみていたが改善しないため受診した。
既往歴:花粉症。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親が脳梗塞。
現症:意識は清明。身長170cm、体重65kg。体温36.6℃。脈拍88/分、整。血圧128/84mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。顔面、頭皮、体幹、背部および両手の手指の関節背面に皮疹を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内と咽頭とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。徒手筋力テストで上腕二頭筋、上腕三頭筋、腸腰筋および大腿四頭筋は両側とも4と低下している。顔面の写真を別に示す。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。赤沈45mm/1時間。血液所見:赤血球372万、Hb 10.5g/dL、Ht 34%、白血球8,800、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン2.7g/dL、AST 89U/L、ALT 35U/L、LD 480U/L(基準176~353)、ALP 220U/L(基準115~359)、γ-GTP 27U/L(基準8~50)、CK 1,230U/L(基準30~140)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。免疫血清学所見:CRP 1.6mg/dL、抗核抗体320倍(基準20以下)。
この疾患の精査で有用性が低いのはどれか。
筋生検
呼吸機能検査
心エコー検査
頸動脈超音波検査
上部消化管内視鏡検査

解答: d

109H31の解説

高齢男性の筋力低下。CKと抗核抗体が上昇しており、画像上ヘリオトロープ疹もみられる。皮膚筋炎の診断。手指関節背面の皮疹はGottron徴候であろう。
a リンパ球の筋浸潤をみる(108D45が参考画像となる)。
b 間質性肺炎を合併するため、拘束性障害の結果が得られる。
c 心筋機能が低下するため、壁運動の低下がみられる。
d 誤り。動脈硬化とは関係ないため、頸動脈超音波検査は不要。
e 消化管悪性腫瘍を合併するため、その検索に有効。

正答率:73%

テーマ:【長文1/2】皮膚筋炎〈DM〉の検査

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