108D45

35歳の女性。脱力を主訴に来院した。9か月前から徐々に歩行時の疲れやすさを自覚し、2か月前に手すりにつかまらないと階段を昇れないことに気付いた。1か月前から洗髪時に腕を挙げるのが難しくなり、洋式便器から立ち上がることができなくなった。身長164cm、体重56kg。胸腹部と脳神経とに異常を認めない。徒手筋力テストで頸部屈筋は2、四肢筋力は左右対称に近位筋は3、遠位筋は4と低下している。筋痛、筋把握痛はない。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.7g/dL、AST 52U/L、ALT 42U/L、CK 870U/L(基準30~140)。脳脊髄液所見に異常を認めない。左上腕二頭筋生検のH-E染色標本を別に示す。
この患者でみられるのはどれか。
末梢神経伝導速度低下
ミトコンドリアDNAの欠失
抗アセチルコリン受容体抗体陽性
針筋電図で刺入時ミオトニー放電
四肢MRIのT2強調像で筋内の高信号

解答: e

108D45の解説

若い女性の筋力低下。近位筋は3、遠位筋は4と低下しているため、近位筋優位の障害といえる。CKの高度上昇があることからも筋原性疾患を考え、左上腕二頭筋生検のH-E染色標本にてリンパ球の血管周囲への浸潤や筋萎縮を認めることから多発性筋炎・皮膚筋炎〈PM/DM〉の診断となる。
a 神経性原性疾患でみられる。
b ミトコンドリア脳筋症でみられる。
c 重症筋無力症〈MG〉でみられる。
d 筋強直性ジストロフィーでみられる。
e 正しい。筋内の炎症性浮腫がMRIのT2強調像で高信号として描出される。

正答率:77%

テーマ:多発性筋炎〈PM〉でみられる検査所見

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