109H28

32歳の男性。意識障害のため搬入された。1時間前に化学工場で大音響を伴う爆発炎上事故があり、燃えている建物から逃げ出して座り込んだところで救助され救急搬送された。職場の記録によると既往歴に特記すべきことはない。搬入時、体温36.0℃。脈拍104/分、整。血圧112/76mmHg。呼吸数16/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。顔面に煤が付着しているが、体幹や四肢に明らかな出血や損傷はみられず着衣の汚染もない。救急隊により意識レベルはJCS II-30と観察され、バックボードで全脊柱固定されている。搬入時は自発開眼があり、呼びかけに対して「えっ、なに。えっ、なんだって」と叫び返して会話が成立しない。口頭での指示に応じず、時々両手を耳のそばに持っていく。
この時点で行うべきなのはどれか。
頸椎固定を外す。
酸素投与をやめる。
筋弛緩薬を投与する。
頭部CTを最優先で施行する。
筆談による意思疎通を試みる。

解答: e

109H28の解説

化学工場の爆発炎上事故から脱出した男性。自発開眼があり、呼びかけに対して答えようとしているため意識状態に問題はない。ただし呼びかけを聞き取れておらず、鼓膜損傷がありそうだ(「大音響を伴う」という記載がヒントとなる)。爆発による鼓膜損傷は一次爆傷に分類される。
a 記載だけからは頸椎の安定性は読み取れない。早計な対応である。
b SpO2が88%と上がり切らない。酸素投与は継続すべきである。
c 呼吸を停止させ、患者を死に至らしめる。禁忌肢。
d 意識状態は問題なく、緊急性の高い頭蓋内疾患はなさそうだ。
e 正しい。本人も鼓膜損傷したことに気づいていない。不安も強いであろう。筆談によりまずはコミュニケーションをとるべき。

正答率:84%

テーマ:一次爆傷による鼓膜損傷への対応

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