109D57

74歳の男性。下腹部痛を主訴に来院した。半年前から尿線が細くなり、頻尿と残尿感とを自覚したため自宅近くの医療機関で内服治療を受けていた。明け方から尿意はあるが排尿できず下腹部痛も伴ってきたため受診した。高血圧症と脂質異常症とで内服治療中である。2日前から感冒様症状を自覚し市販の総合感冒薬を服用している。身長164cm、体重58kg。体温36.8℃。脈拍88/分、整。血圧144/88mmHg。呼吸数16/分。下腹部に弾性軟の腫瘤を触知する。直腸指診で小鶏卵大で弾性硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。導尿によって症状は改善した。
この患者の排尿状態の悪化に関連したと考えられるのはどれか。2つ選べ
α1遮断薬
抗コリン薬
抗ヒスタミン薬
HMG-CoA還元酵素阻害薬
アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬

解答: b,c

109D57の解説

前立腺肥大症〈BPH〉患者が総合感冒薬を服用すると、抗コリン作用で尿閉が悪化する、という頻出パターン問題。
a α1遮断薬はBPHの治療薬である。
b 正しい。抗コリン薬には排尿筋収縮を抑制する作用があり、尿閉が悪化する。
c 正しい。抗ヒスタミン薬にも抗コリン作用があることは重要であり、101B76にも出題あり。
d HMG-CoA還元酵素阻害薬は高コレステロール血症の治療薬である。
e アンジオテンシン変換酵素阻害薬〈ACEI〉は降圧薬であり、副作用としては空咳や血管性浮腫がある。

正答率:76%

テーマ:前立腺肥大症〈BPH〉の排尿状態の悪化に関連した薬物

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