109D47

4歳の女児。「朝起きたときから、ぼーっとしている」と心配した母親に連れられて来院した。前日は遠足で疲れて夕食を食べずに寝てしまった。今朝母親が何度起こしても、うとうとして起きなかったため受診した。これまでも似たようなエピソードはあったが、食後に元気になったのでそのままにしていた。意識レベルはJCS I-3。身長100cm、体重14kg。体温36.1℃。脈拍124/分、整。血圧90/56mmHg。呼吸数36/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体3+、潜血(−)。血液所見:赤血球420万、Hb 12.5g/dL、Ht 41%、白血球11,000、血小板35万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、AST 26U/L、ALT 14U/L、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、血糖30mg/dL、Na 140mEq/L、K 5.1mEq/L、Cl 96mEq/L。
考えられる疾患はどれか。
てんかん
1型糖尿病
von Gierke病
起立性調節障害
ケトン性低血糖症

解答: e

109D47の解説

ケトン体が強陽性で、かつ血糖値も低い。ケトン性低血糖が考えやすい。鑑別の対象となるアセトン血性嘔吐症〈周期性嘔吐症〉も好発年齢(2~10歳)が重複するが、こちらでは低血糖をみない。
a てんかん発作の一環として「ぼーっとしている」こともあるが、尿所見や血液所見が説明できない。
b 糖尿病であれば高血糖となる(血糖降下薬を服用していない場合)。
c von Gierke病〈糖原病1型〉でも低血糖発作をみるが、低身長や肝腫大がみられるはず(4歳児の平均身長は100cm程度)。
d 小学生以降に多い。立ちくらみをみる。尿所見や血液所見が説明できない。
e 正しい。上記の通り。

正答率:91%

テーマ:ケトン性低血糖の診断

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