109C21

24歳の女性。下腹部痛と性器出血とを主訴に来院した。2週前に妊娠6週0日と診断された。その後、軽度の下腹部痛が続き、昨日初めて性器出血を認めたため受診した。腟鏡診で暗赤色の血液を少量認めるが、子宮口からの血液流出はない。内診で子宮は鵞卵大で軟、子宮口は閉鎖している。経腟超音波検査で子宮内に胎嚢が認められ、その中の胎児は頭殿長〈CRL〉1.5cmで心拍動が同定され、胎嚢の外側に3×3×2cmの低エコー領域を認めた。
診断として正しいのはどれか。
完全流産
稽留流産
進行流産
切迫流産
不全流産

解答: d

109C21の解説

選択肢をざっと見て、この患者では何かしらの流産が起こっていることが分かる。1つ1つの流産の定義を確実に押さえられているかがポイント。胎嚢の外側に3×3×2cmの低エコー領域を認めているのは子宮内の出血であろう。
a 文字通り、子宮内容が完全に排出されたことを指す。現時点では子宮内に胎嚢が認められることから否定的。
b 児が胎内で死亡後も無症状な状態を指す。現時点では心拍動が同定されていることから否定的。
c 子宮内容はまだ子宮内にあるが、子宮口が開大、児は死亡し、すでに妊娠継続が不可能となった状態を指す。現時点では子宮口は閉鎖しており、心拍動が同定されていることから否定的。
d 正しい。切迫流産は未だ妊娠継続が可能な状況であり、児は生存している。子宮口も閉鎖している。この段階で子宮収縮を止め、児を救命できるのが理想である。
e 子宮内容が一部体外へ排泄されるも、まだ子宮内に残存している状態。児は死亡している。現時点では子宮口は閉鎖しており、心拍動が同定されていることから否定的。

正答率:82%

テーマ:切迫流産の診断

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