109B49

28歳の男性。右頸部腫瘤を主訴に来院した。2か月前から右頸部腫瘤が増大し、1週前から発熱が出現したため受診した。体温38.2℃。右頸部と左鎖骨上窩とに径3cmの圧痛のないリンパ節を2個触知する。頸部リンパ節生検で、びまん性大細胞性B細胞型リンパ腫と診断された。PET/CTでは右頸部、左鎖骨上窩および縦隔に取り込みを認めた。
治療開始に際して適切なのはどれか。2つ選べ
治療は無菌室が空くのを待ち行う。
挙児希望であったので精子保存をする。
病状の説明に主治医の他に看護師も同席する。
後方視的臨床研究の結果をもとに治療計画を立てる。
セカンドオピニオンを希望したので自分の父親が経営する病院を紹介する。

解答: b,c

109B49の解説

びまん性大細胞性B細胞型リンパ腫の診断は既についている。「治療開始に際して」とややぼかし気味に書いてはあるが、ここでいう「治療」は化学療法のことである。
a 無菌室は造血幹細胞移植などに用いられる。
b 正しい。化学療法により精巣が障害され、男性不妊をきたす可能性がある。むろん、事前にその旨を患者に説明することも重要となる。
c 正しい。誤りになりようがない選択肢である。
d 後方視的〈retrospective〉、とは過去をふりかえって有効性・安全性を評価するもの。症例対照研究が好例である。一方、コホート研究は前方視的〈prospective〉とされ、こちらの方が臨床研究の信頼性は高い。
e セカンドオピニオンは主治医と利害関係のない病院で受けるのが望ましい。

正答率:84%

テーマ:悪性リンパ腫患者への対応

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