108I79

72歳の男性。咳嗽、喀痰および呼吸困難を主訴に来院した。8年前から労作時の呼吸困難を自覚している。2日前から咳嗽と喀痰が出現し、呼吸困難が増悪したため受診した。喫煙は40本/日を40年間。意識は清明。身長165cm、体重57kg。体温37.6℃。呼吸数28/分。SpO2 86%(room air)。頸静脈の怒張と胸郭の膨隆とを認める。両側の胸部にwheezesとcoarse cracklesとを聴取する。血液所見:赤血球456万、Hb 15.3g/dL、Ht 44%、白血球10,400(桿状核好中球14%、分葉核好中球62%、好酸球3%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球12%)、血小板16万。CRP 3.4mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.29、PaCO2 65Torr、PaO2 48Torr、HCO3- 30mEq/L。胸部エックス線写真(A)と胸部単純CT(B)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ
抗菌薬の投与
気管支肺胞洗浄
侵襲的人工換気
胸腔ドレナージ
気管支拡張薬の投与

解答: a,e

108I79の解説

喫煙歴(40本/日を40年間)があり、画像Aにて肺の過膨張・横隔膜の平低化・透過性亢進を、画像Bにて気腫性変化がみられていることから慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の診断となる。ただし本患者では発熱や白血球・CRP上昇があり、感染症をきたしている。これにより呼吸状態が悪化したと考えられる。COPDの急性増悪である。107A57とほぼ同一の問題(正答は全く同じ)なのであるが、正答率が上がりきらなかった問題。
a 正しい。好中球優位な白血球上昇やCRP上昇からは細菌感染が考えられる。
b 呼吸困難の存在下に気管支肺胞洗浄は困難である。
c まずは投薬での対応を試みるべき。効果がみられない場合でも、非侵襲的人工換気〈NPPV〉を行う。
d 気胸や大量な胸水が存在する場合に行う。
e 正しい。COPDの急性増悪により気道が狭窄していることが呼吸困難の原因である。β2刺激薬や抗コリン薬といった気管支拡張薬を投与するとよい。

正答率:74%

テーマ:慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉急性増悪の治療

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