107A57

67歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。5年前から労作時の呼吸困難を自覚していた。1週前から感冒様症状が出現し、咳嗽、喀痰および呼吸困難が増悪したため受診した。喫煙は40本/日を47年間。現在も喫煙を続けている。意識は清明。身長165cm、体重56kg。体温37.8℃。脈拍112/分、整。血圧142/84mmHg。呼吸数22/分。SpO2 86%(room air)。頸静脈の怒張を認める。右季肋部で肝を3cm触知する。聴診で両側の胸部にwheezesとcoarse cracklesとを聴取する。血液所見:赤血球388万、Hb 11.9g/dL、Ht 35%、白血球11,300(桿状核好中球18%、分葉核好中球58%、好酸球2%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球14%)、血小板35万。CRP 4.0mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.37、PaCO2 78Torr、PaO2 56Torr、HCO3- 44mEq/L。胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部CT(B)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ
抗菌薬の投与
胸腔ドレナージ
免疫抑制薬の投与
高濃度酸素の投与
気管支拡張薬の投与

解答: a,e

107A57の解説

47年間にもわたる喫煙歴がある高齢男性の呼吸困難。画像Aにおける肺野の透過性亢進・横隔膜平低化、画像Bにおける気腫性変化はおなじみであろう。慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の診断である。1週前からの感冒により急性増悪をきたしたエピソードと考えられる。
a 正しい。発熱があり、白血球やCRP上昇もみられ、細菌感染は依然として存在すると考えられる。抗菌薬が有効。
b 胸腔ドレナージは気胸や大量胸水に有効。
c 免疫抑制薬は特発性肺線維症に有効。
d 高濃度酸素投与はCO2ナルコーシスをきたしかねない。禁忌肢と考えられる。
e 正しい。末梢気道閉塞によると思われるwheezesを聴取している。β2刺激薬や抗コリン薬など気管支拡張薬が有効。

正答率:77%

テーマ:慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪の治療

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