108I75

65歳の男性。総胆管結石の加療目的で入院中である。入院翌日に内視鏡的結石除去術を施行した。終了3時間後から持続性の心窩部痛と背部痛を訴えた。体温35.8℃。脈拍100/分、整。血圧84/56mmHg。呼吸数20/分。SpO2 93%(room air)。顔面は蒼白である。腹部は平坦で、心窩部に圧痛と筋性防御とを認める。血液所見:赤血球422万、Hb 14.3g/dL、Ht 43%、白血球10,100(桿状核好中球7%、分葉核好中球66%、単球3%、リンパ球24%)、血小板26万、PT 94%(基準80~120)。血液生化学所見:総ビリルビン1.2mg/dL、AST 20U/L、ALT 19U/L、LD 151U/L(基準176~353)、ALP 246U/L(基準115~359)、γ-GTP 22U/L(基準8~50)、アミラーゼ1,495U/L(基準37~160)、クレアチニン1.0mg/dL。CRP 0.1mg/dL。腹部造影CTを別に示す。
次に行うべき治療として適切なのはどれか。
血漿交換
大量輸液
緊急開腹手術
胆道ドレナージ
副腎皮質ステロイドのパルス療法

解答: b

108I75の解説

総胆管結石の治療として内視鏡的結石除去術を施行した後から持続性の心窩部痛と背部痛が出現している。血中アミラーゼの上昇を認めていること、腹部造影CTで膵の腫大とその周囲の液体貯留がみられることから、急性膵炎を考える。ERCPの合併症として急性膵炎は有名であり、医原性急性膵炎の診断となる。現時点の重要懸念事項は血圧84/56mmHgとショック状態であること。これに対する対応を選択する。
a 血漿中に除去したい物質がある場合に行う。大量に投与できるものではなく、昇圧作用はない。
b 正しい。血圧低下に有効。
c・d ショック状態でこれらの手技を行うことは不可能。
e 自己免疫性膵炎に有効。

正答率:88%

テーマ:医原性急性膵炎の治療

フォーラムへ投稿

関連トピック