108I65

58歳の男性。腹部CTで異常を指摘され来院した。55歳時に自宅近くの医療機関で早期胃癌に対し幽門側胃切除術を受け、その後の定期検査の腹部CTで異常を指摘され、紹介されて受診した。自覚症状はない。体温36.2℃。脈拍88/分、整。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球415万、Hb 13.6g/dL、Ht 42%、白血球5,800、血小板22万。血液生化学所見:総ビリルビン0.8mg/dL、AST 24U/L、ALT 32U/L、ALP 246U/L(基準115~359)、γ-GTP 44U/L(基準8~50)、アミラーゼ155U/L(基準37~160)、CEA 2.2ng/mL(基準5以下)、CA19-9 32U/mL(基準37以下)。CRP 0.1mg/dL。MRCPを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
膵癌
総胆管結石
膵内分泌腫瘍
自己免疫性膵炎
膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉

解答: e

108I65の解説

MRCPではブドウの房状の多房性の嚢胞性病変がみられる。膵管との交通もありそうだ。膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉を考えたい。膵嚢胞性疾患には漿液性嚢胞腫瘍〈SCN〉と粘液性嚢胞腫瘍〈MCN〉、IPMNの3つの代表的疾患が存在するが、IPMNのみ中高年の男性に多いことは重要(他2つは女性にみられる)。
a 膵癌であれば、CEAやCA19-9といった腫瘍マーカーの上昇がみられる。
b 総胆管結石であれば、MRCPで結石より肝臓側の胆管拡張がみられる。
c 膵内分泌腫瘍であれば分泌されたホルモンによる症状がみられる。
d 自己免疫性膵炎であれば、主膵管の狭小化がみられる。
e 正しい。上記の通り。

正答率:94%

テーマ:膵管内乳糖粘液性腫瘍〈IPMN〉の診断

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