108H35

次の文を読み、35、36の問いに答えよ。
60歳の女性。上腹部痛を主訴に来院した。
現病歴:1か月前から食後に腹痛を自覚するようになった。昨夜、還暦祝いに家族と外食をした後に悪心と右肩から背部に放散する上腹部の痛みがあり受診した。今朝からやや色の濃い尿に気付いたという。
既往歴:18歳時に虫垂切除術。
家族歴:母親が糖尿病。
現 症:意識は清明。身長152cm、体重62kg。体温37.5℃。脈拍92/分、整。血圧124/70mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。眼球結膜に黄染を認める。
この患者の身体所見として最も考えられるのはどれか。
腸雑音の減弱
腹壁の皮下出血
肺肝境界の消失
左肋骨脊柱角の叩打痛
深吸気時の右季肋部圧痛

解答: e

108H35の解説

高齢女性の外食後の右肩から背部への放散痛を伴う上腹部痛であり、胆石症の診断は難しくない。微熱があり、黄疸が出現していることも矛盾しない(発熱+右季肋部痛+黄疸をCharcotの3徴と呼ぶ)。
a 腸雑音の減弱は麻痺性イレウスでみる。
b 腹壁の皮下出血は急性膵炎でみる(Cullen徴候やGrey-Turner徴候)。
c 肺肝境界の消失は無気肺や胸水貯留、消化管穿孔によるfree airでみる。
d 左肋骨脊柱角の叩打痛は尿管結石や腎盂腎炎でみる。
e 正しい。右季肋部を圧迫した状況で深呼吸をしてもらった際に、吸気時に痛みで呼吸が止まることをMurphy徴候と呼ぶ。胆嚢炎に特徴的。

正答率:88%

テーマ:【長文1/2】急性胆嚢炎の身体所見

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