108H29

70歳の男性。腹膜炎の手術後で入院中である。2週前にS状結腸憩室の穿孔による急性汎発性腹膜炎にて緊急手術を施行された。手術術式はS状結腸切除術・人工肛門造設術であった。術後の経過は良好で、術後7日目に流動食を開始し、術後8日目にはドレーンの排液の性状に問題がなかったためドレーンは抜去した。現在は中心静脈栄養を併用しながら5分粥食を全量摂取している。術後4日目以降発熱を認めなかったが、昨夜急に悪寒戦慄を伴う39℃の発熱があった。他に症状はなく食欲も保たれている。
対応として適切なのはどれか。
絶飲食
便培養検査
緊急開腹手術
ドレーン再挿入
中心静脈カテーテル抜去

解答: e

108H29の解説

急性汎発性腹膜炎の手術2週後に悪寒戦慄を伴う発熱がみられている。感染源を検索することとなるが、中心静脈栄養が施されているためカテーテル感染の可能性が高い。95F13のように「カテーテル刺入部位に軽い発赤を認める」などと示してくれれば確証を持てるのだが、本問ではカテーテル感染であることの断言はできず、あくまで選択肢から消去法で臨むこととなる。
a 絶飲食では体力が低下し、治癒が遅れる。誤嚥性肺炎を疑った場合、絶飲食とすることもあるが、本文中に「食欲も保たれている」と記載があり、その可能性は低いそうだ。
b 腸炎にて下痢がみられる場合に考慮する。
c 縫合不全など緊急性の高い場合に考慮する。
d ドレーンはすでに抜去しており、その際に問題はなかったようだ。腹腔内膿瘍なども否定的であり、ドレーン再挿入の意味はない。
e 正しい。感染源と思われるものを抜去すべきである。

正答率:79%

テーマ:腹膜炎術後に突然発症した発熱に対する対応

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