108D25

42歳の男性。微熱を主訴に来院した。4か月前から微熱を自覚していた。3週前から全身倦怠感と手足の関節痛とが出現し、微熱も続いているため心配になって受診した。1週前に数秒間の眼前暗黒感を生じたという。4か月間で5kgの体重減少がある。意識は清明。身長163cm、体重62kg。体温37.2℃。脈拍80/分、整。血圧136/82mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心尖部に体位によって強さが変化する拡張期の心雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音は正常。関節の腫脹を認めない。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球12,300(桿状核好中球30%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板21万。血液生化学所見に異常を認めない。免疫血清学所見:CRP 1.0mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体陰性、CH50 36U/mL(基準30~40)、C3 52mg/dL(基準52~112)、C4 20mg/dL(基準16~51)、ツベルクリン反応陰性。血液培養は陰性。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。
診断のために有用な検査はどれか。
心エコー
骨髄穿刺
腹部単純CT
上部消化管内視鏡検査
全身Gaシンチグラフィ

解答: a

108D25の解説

「数秒間の眼前暗黒感」からは一過性脳虚血発作〈TIA〉を考える。
「心尖部に体位によって強さが変化する拡張期の心雑音を聴取」との記載からは左房粘液腫による僧帽弁狭窄症〈MS〉様症状が考えやすい。粘液腫がちぎれ、全身臓器に塞栓を生じている病態であろう。粘液腫の産生するIL-6によると思われる炎症症状もみられている。
a 正しい。心エコーにて粘液腫を確認する。
b 血液疾患を考えた場合に施行する
c 胸部CTであれば粘液腫が描出できるかもしれない。
d 消化管疾患を考えた場合に施行する。
e 腫瘍の転移やサルコイドーシス、間質性腎炎などを考えた場合に施行する。

正答率:93%

テーマ:左房粘液腫の診断に有用な検査

フォーラムへ投稿

関連トピック