108D24

67歳の男性。腹部全体の持続する強い痛みを主訴に来院した。3年前から虚血性心疾患と心房細動とで通院中である。10時間前に腹痛が突然出現し、徐々に増強した。体温36.7℃。脈拍88/分、不整。血圧124/78mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。腹部は全体に膨隆し、腸雑音を聴取しない。腹部全体に圧痛とBlumberg徴候とを認める。血液所見:赤血球512万、Hb 16.2g/dL、Ht 48%、白血球12,800(桿状核好中球28%、分葉核好中球46%、好酸球2%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.6g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 112U/L、ALT 35U/L、LD 482U/L(基準176~353)、アミラーゼ124U/L(基準37~160)、CK 186U/L(基準30~140)。腹部造影CT(頭側から順にA、B、C)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
腸重積症
消化管穿孔
腸管軸捻転症
絞扼性イレウス
上腸間膜動脈閉塞症

解答: e

108D24の解説

100F31のプール問題(選択肢もほぼ同じ)。腹部造影CTにて、上腸間膜動脈の途絶を指摘可能。上腸間膜動脈閉塞症の診断となる。心房細動があり、これによる血栓塞栓症と考えられる。
a 腸重積症では間欠性の痛みとなる。
b 消化管穿孔ではfree airをみる。
c 腸管軸捻転症ではCTで捻転所見が描出される。
d 血流途絶により絞扼が生じている(or今後生じる)可能性は十分にあり、完全に誤りとはいえないが、eという選択肢がある以上、こちらを正解とする。
e 正しい。上記の通り。

正答率:96%

テーマ:上腸間膜動脈閉塞症の診断

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