100F31

67歳の男性。持続性の強い腹痛を主訴に来院した。3年前から虚血性心疾患と心房細動とで通院中である。10時間前に腹痛が突然出現し、徐々に増強した。腹部は全体に膨隆し、腸雑音を聴取しない。打診で鼓音を呈し、腹部全体に圧痛とBlumberg徴候とを認める。血液所見:赤血球512万、Hb 16.2g/dL、白血球12,800、血小板18万。血清生化学所見:総蛋白7.6g/dL、アルブミン5.1g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 112U/L、ALT 35U/L、LD 482U/L(基準176~353)、アミラーゼ124U/L(基準37~160)、CK 186U/L(基準10~40)。腹部造影CT(頭側から順にA、B、C)を別に示す。
診断はどれか。
腸重積症
腸管軸捻転症
消化管穿孔
上腸間膜動脈血栓症
絞扼性イレウス

解答: d

100F31の解説

腹部造影CTでは上腸間膜動脈の造影欠損を認めている。3年前から虚血性心疾患と心房細動を指摘されており、血栓による塞栓と考えられる。CKの上昇もあり、腸管壊死が示唆される。
a 腸重積では腸管の重複をCTで確認できる。
b 腸管軸捻転症では捻転部位より口側でniveauを認める。またS状結腸捻転症では腹部単純エックス線写真でcofee bean signを呈する。
c 消化管穿孔ではfree airを認める。
d 正しい。血栓溶解や壊死した腸管の切除術を緊急で行う。
e 絞扼性イレウスではCTにて閉塞部とその口側に拡張した腸管を認める。

正答率:91%

テーマ:上腸間膜動脈血栓症の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし