108D13

約3年前から転びやすくなった68歳の男性で、筋強剛と立ち直り反射障害があるが振戦はなく頭部MRIでは異常を認めない。
最も考えられるのはどれか。
Parkinson病
多系統萎縮症
正常圧水頭症
進行性核上性麻痺
大脳皮質基底核変性症

解答: aまたはd

108D13の解説

不適切問題であり、正答は公表されていない。限られた情報から診断を導くトレーニングの素材としては面白いが、医師免許の取得をかけた試験で出題するには情報量が少なすぎる。出題者はParkinson病または進行性核上性麻痺〈PSP〉を正答として想定していたと思われる。折しも、次年の109A11では進行性核上性麻痺〈PSP〉のhummingbird signが出題されており、本問が不適切問題となってしまった反省の念が込められていると考えられる。
a △。Parkinson病の可能性もある。
b 多系統萎縮症では頭部MRIで脳幹部の萎縮などの異常が出現する可能性が高い。
c 正常圧水頭症であれば頭部MRIで脳室の拡大をみる。
d △。「転びやすい」という主訴からはPSPが考えやすい。が、頭部MRIで中脳被蓋部の萎縮(hummingbird sign)が出現するため、「頭部MRIで異常を認めない」かは疑問である(よほどの病初期なら認めない可能性もあるが、それを言ってしまえばこの世に存在する全ての疾患は病初期に異常を認めない)。
e 大脳皮質基底核変性症では大脳皮質の萎縮がみられる。また、症状に左右差がみられる。

正答率:71%

テーマ:進行性核上性麻痺〈PSP〉の診断

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